大学の再編と統合の時代
近年、大学再編の必要性が叫ばれています。
少子化による影響等で経営環境が厳しくなる中、このままでは大学運営が行き詰まるのは自明だからです。
大学の統廃合による再編が検討されるのは当然で、下の記事のように名古屋大学と岐阜大学の統合再編のニュースもでてきました。ここ数カ月で特に動きが活発になってきたように感じますので、取り上げてみます。
名大・岐阜大「統合」で動き出した再編の歯車 | 学校・受験 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
1.再編の方向性と新制度案
まず、現在の国立大学は、独立行政法人化に伴う国立大学法人制度の下、1法人が1国立大学を運営する仕組みになっています。
そして、直近の3月に文科省から、地域の大学が設置形態の枠を超えて参加する新たな法人制度の案を公表されました。
大学分科会(第140回)・将来構想部会(第9期~)(第14回)合同会議 配付資料:文部科学省
その中で、
・国立大学の一法人複数大学制の導入
・私立大学の学部単位等での事業譲渡
・国公私の設置主体の枠を超えた統合
上記のような改革案が示されています。名古屋大学と岐阜大学で経営統合では、実現されるとしたら文科省の資料の中の下の図のようになるのでしょう。
アンブレラ方式といわれるこの「一法人が複数大学を運営」という形は、現状の法制度の改正に着手しなければなりません。
法改正が実現し改革が進めば、名古屋大学と岐阜大学の名称はそのままで、運営する法人のみを統合することになります。
そして、一つ前例ができると、一気に統合の波が押し寄せることになると予想されます。
2.経営面におけるメリット
経営面では、上の図にも記載されているとおり、統合によるスケールメリットが挙げられるでしょう。教職員を含む教育・研究資源を共有することにより、それぞれの大学が運営を効率化する効果はあると思われます。
ただ、分校扱いにして(例:名古屋大学岐阜校)大学の数が減るということではないので、教職員数や役員数はほとんど減らないでしょう。こういったところを減らせるとスリム化でき、効率的だと思いますけどね。
また、経営統合することは、将来潰れるであろう大学の雇用のセーフティネットの役割も兼ねているのでしょう。大規模な人員削減は健全経営のためには避けて通れないものだと思うんですけどね。大学にろくに貢献しない教職員がどれだけいることでしょう。
3.教職員・学生への影響
いざ再編が進んだら、教職員は今までとは別の地域に赴任することはあるでしょう。特定の大学のポストが減り、その分を別の大学でポストを用意するというのは当然あるでしょうし、学部の統廃合等が起きる場合は分かりやすい例ですね。そして、いわゆる大学間の派閥争いというのはありそうですね。。
学生としては、学部統廃合が起こった場合の地元での進学の選択肢が少なくなるといった影響が予想されます。そうならないように今までは1大学1法人で、各都道府県に1つ以上となっていた面がありますからね。
4.終わりに
以上、大学再編の議論が一気に加速しており、統廃合は時間の問題でしょう。
私は大学は一度潰れまくらないと良くならないと思います。大学を潰さないように進めるこの改革では生温いと感じています。
そして、そうなった時に備えて別の収入源の確保にも取り組んでいます。転職も選択肢にあります。解雇はそうそうないと思いますが、待遇の悪化は考えられますし、何が起こるか分からない世の中ですからね。