けんてぃー大学

20代の国立大学職員による仕事のことその他関心があることの書き散らかしブログ

オープンキャンパスは必要か?

どの大学でも実施しているオープンキャンパス。大学進学者のうち、オープンキャンパスに行ったことがある人の割合は90パーセント弱と言われています。

教職員や在学生スタッフは、その準備や実施に駆り出され、忙しく働いています。

さて、このオープンキャンパスは果たしてどの程度有意義なのでしょうか?
来場者側と大学側の視点から考えてみます。

 

 

1.来場者の目的は?

来場者は何を目的にオープンキャンパスに行くのでしょうか?よく言われる目的・メリットとしては、以下のようなものがあります。

・立地や周辺の環境、設備を確認できる。
・キャンパスの雰囲気、先輩や先生の雰囲気が分かる。
・体験授業が受けられる。
・モチベーションアップ。
・大学情報を得ることができ、質問や相談もできる。
・面接等でのアピールポイントになる。

これらについて、私の意見を書いていきます。

 

・立地や設備、周辺の環境を確認できる。
オープンキャンパスとして行く必要性はない。
普通の日に見学に行って問題はありません。オープンキャンパスの日のみ大学関係者以外が使える設備の確認であれば話は別ですが、それはそう多くはないでしょう。

・キャンパスの雰囲気、先輩や先生の雰囲気が分かる。
一番分からないのがオープンキャンパス
まず、夏休みに開催することが多いため、肝心の日常風景を見ることができません。そして、キャンパス内は溢れかえった高校生ばかりです。
また、当然ながら大学は「良いところ」を見せようとします。悪いところは見せません。
参加する在学生についても、オープンキャンパスに協力し、盛り上げようとしてくれる、「意欲と行動力がある優秀な学生」が多いです。紹介されるような在学生については、「特に優秀な一握りの学生」でしょう。平均的な在学生の姿ではありません。

先生も、表立って来場者に応対するのは「先生の中でも好印象を与える人」である確率が高いです。
大学の本当の雰囲気を味わいたいなら、普段の日に大学に見学に行くのが一番良いのです。

・体験授業が受けられる。
→ウケの良い内容を、「学内トップレベルで授業評価が良い、一握りの先生」が行う授業、という意識で体験するのなら良い。
大学は当然良いところを見せようとしますからね。それが平均的な授業レベルと思ってはいけません。

・モチベーションアップ。
上記のことを踏まえた上で、モチベーションが高まれば良い。

飾られた情報を基にして、必要以上に高いイメージで入学した際には、失望する可能性があります。

・大学情報を得ることができ、質問や相談もできる。
オープンキャンパス以外にも選択肢は多い。
インターネットを使えば大体の情報は手に入ります。高校の先生や大学に入った先輩等がいれば、そこから情報を得ることもできます。大学にメール等で問い合わせても良いです。
在学生に直接相談したいことがある、という場合には有意義でしょう。

・面接等でのアピールポイントになる。
これは否めない。
オープンキャンパスに来たか来てないかを、入学意欲の判断基準の一つとする面接員がいる可能性はあります。不参加が不利に働くケースがあるのは否めないでしょう。

 

2.大学側の目的は?


次に、大学側から考察します。


オープンキャンパスの一番の目的は、「志願者数の増加」であるべきだと私は思います。
志願者の多さは大学のステータスになりますし、入試は大きな収入源の一つです。試験が高倍率になったほうが入学者のレベルは当然高くなりますしね。
この「志願者の増加」という観点から考えて、オープンキャンパスで大学の良いところ、優れた環境ばかり見せるのは合理的と言えます。

 

ただ、ゲームやスタンプラリーの実施などでお祭り状態と化しているオープンキャンパスで、無料の食事や交通費・宿泊費負担もするようなものには、私は反対です。来場者の増加には繋がるのでしょうが、それが志願者の増加にどれだけ繋がるかは疑問だからです。
受験先を考える時はみんな真剣です。受験機会の少ない国公立大は特にそうでしょう。

「気軽な気持ちで参加したオープンキャンパスで楽しめた」から志願するのではなく、「関心のある大学のオープンキャンパスで、入学する価値を見出せた」から志願するのです。
もちろん来場者数自体が増えれば、志願者の絶対数が増える可能性は高いでしょう。しかし、実施に必要なコストを考えると、コスパが悪いように感じます。

 

3.まとめ


私は、オープンキャンパスに行く必要性が高い人は、そう多くはないと思います。
目的としているものが、オープンキャンパスに行かないと得られないものか?他に適切な手段はないか?を考えることは重要でしょう。
大学側としては、オープンキャンパスの目的を明確にし、その目的を満たすために必要なものを、コストと天秤にかけて実施する意識を持つことが重要だと考えます。